新しいブログを始める


ふくのたね製パンの工房長として、いよいよ自分の言葉を発し始める家内に触発され、ぼくも新しいブログを始めることにした。しばらくは、このブログのテーマ探しの日々が続くであろう。改まってテーマを決めて書くというのは、学生の論文のようだ。

ぼくが通信教育で芸術学を学び大学を卒業する際書いた卒業論文は、いわゆる「文献の紐を解いて書いていく」や「他人の作品のことを書く」というものではなく、「自分自身が卒業年度に向けて計画し地域で実践する表現活動を報告する」というスタイルのものだった。

どんなことを計画したかというと、山の中に土窯を作って、小麦を栽培して、パンを焼き、荒神神楽に福の種として奉納する、という活動である。それを前年度に計画し、卒業年度に実践した。書き上がった卒業論文は、以前のブログで公開しているが、ブログの開設、更新それ自体も計画の一部であり、日々の実践について書き込んだりしていた。

そのブログの開設は2008年1月でちょうど6年が経った。ご存知の通り、なごみLABOにはふくのたね製パンの土窯があり、保健所の営業許可もとって、一応パン屋のようなことになっている。これは、その卒業論文のために計画した活動の続きであり、一方で(大学を卒業はしたが)ぼくは未だに自身の卒業論文の中に生きているような感じもしなくはない。そのときのブログをそのまま続けてきたからであろうか。

実は、卒業論文で出てきた荒神神楽がまた今年奉納されることになっている。別名「七年神楽」と呼ぶこともあるが、その年も含むので実際には6年に一度、つまりここ仁井山地区では子の年、午の年にある祭りなのである。これも何かの節目と自発的に考えることもできるが、あるいは、次の6年のことを思う「荒神信仰」の信者としてのお勤めなのかもしれない。

そういえば、もうすぐ厄年も終わる(神道の年度は2月始まりと聞く)。あるいは、これは人生の折り返し地点なのかもしれない。

卒業式のあと教室で芸術学コースの皆が集まった。その時の(卒論の指導教官ではなかったが)梅原賢一郎先生の「卒業は初動。勢いを無くさないように。」という言葉に、ぼくはすっかりしびれてしまった。

力には方向がある。たとえ小さくてもその勢いを無くさないようにするには、自分で踏み出したその方向にそのまままっすぐ進むのがいい。たとえ、今が人生の折り返しだとしても、ぼくはその「初動」を打ち消すようなことをしようとは思わない。あるいは、あのようにぼくが大学に入学しなおしたことがすでに折り返しだったのかもしれないし(そう考えると、寿命が少し短くなるかもしれないが(笑))。

ともあれ、まだまだぼくはそれほど遠くには飛んではいない。
テーマ。進行方向にまっすぐ向けるか、寄り道か。じっくり考えよう。

写真は、小麦畑で1回目の麦踏みを終えた工房長と息子(4)。

コメント

人気の投稿